筋肉が落ちて筋力低下
高齢者の治療訪問していると各所からよく聞く言葉です。多くの人が加齢に伴い筋肉量や筋力が低下していることは紛れも無い事実だと思います。しかし、それが理由で歩行が出来なくなったり立てなくなったりするケースは実はそんなに多くないのではないかと思っています。思うと言うより、実際筋肉量が変化しなくても立ち上がりや歩行が改善する例は多くあります。
どうしても、筋肉が増えれば筋力が強くなると考えがちですがこのように考えて高齢者のリハビリを行うと危険です。筋肉量を増やそうとして筋力がもっと低下してしまうことがあるからです。
筋力が低下する理由は病的なものを除き大きくわけて3つあると考えています。
1と2はなんとなく経験的に理解頂けると思いますが、3はわかりづらいですね。少し説明します。
緊張が高いというのは、言い換えると無意識に力が入っているということです。腰に痛みが出ないよう無意識に体に力を入れる、寒いと勝手に力が入る、と言えば少し伝わるでしょうか。高齢者の場合、このような緊張の高い状態が全身多くの場所で起こっています。
筋肉というのは、緩んで伸びた状態から緊張して縮むことで筋力が発揮され関節を動かすことが出来ます。しかし、最初から筋肉が緊張しているとそこに力を入れようとしてもすでに入っているのでうまく力が入らなかったり自分でコントロール出来ない。結果として、立位や歩行が悪くなってしますのです。
先ほど、筋肉量を増やそうとして筋力が低下することがあると言いました。男性の多く見受けられるのですが、力が入りづらいと感じると筋肉を鍛えて力が入るようにしようと考えます。しかし、筋力が戻るどころかより力が入りづらくなることがしばしばあります。これは、緊張が強い筋肉を酷使してより緊張を強くしてしまい、筋肉が縮めない状態にしているからなのです。この場合は、負担になっている動作を中止して休ませる。それでもダメなら治療するというのが正しい方法になります。
3つの筋力低下原因の内、その人の原因が何なのかを見極めるのが私達プロの仕事。もちろん複合的な原因の場合もありますので、患者さんに合わせて指導していくのです。なんでも筋肉量が増えるような運動をするだけでは良くなるものも良くなりません。
この3つを満たしているのに、自分で動けない・立ち上がりが出来ない・歩けないという人は少し介護用品を導入したり使い方を変えるだけで大きな変化が期待できます。環境が悪い可能性が高いのです。筋肉がないから、と諦めないでください。
へばの〜
コメント