脳梗塞でうつ症状がある方の訪問リハビリマッサージ症例
病名・症状
患者情報
80代 女性 娘さんと同居 要介護3
導入経緯
大腿骨頸部骨折し、退院後杖歩行になった。少しずつ状態低下し、自力での立ち上がりも不安定に。合わせてうつの傾向があり、多くのことに消極的で口数も少ない。家族が触ると痛みの訴えもあり介護負担が大きくなってきたためケアマネジャーより依頼があった。
ADLの状況
移動は車椅子で行い、立ち上がりも娘さんの介助で行っているが膝がしっかり伸びず不安定。起き上がりも介助が必要。食事に対しての意欲も低下し、自分で食べることが出来ないこともある。猫背の姿勢が強く、長時間座っていることも難しい。デイケアに行っているが、行きたくないと仰ることが多い。
治療内容
介護ベッドを導入されていたが、高さが一番低くなっていたので本人に合わせた高さに調整。声掛けしながら起き上がりをしてもらうと介助なしで可能。立ち上がりも、お辞儀動作を伝えてお願いしたところ介助なしで出来た。体の能力低下よりもやる気の低下や依存によってのADL低下が起こっていると考えた。
うつ症状については、首肩を中心としたマッサージと運動する時に回数を一緒に数えてもらいながら、昔のお話を聞くなどして改善を目指した。また、出来るだけ睡眠時間を一定になるようお伝えし、ご家族には動けることを知って頂いた上で出来るだけ介助しないようにお願いした。猫背については、お尻上げの運動など骨盤後傾を改善するメニューを取り入れながら、低い椅子や体が沈む椅子にはあまり座らないよう伝えた。股関節の拘縮に対してはマッサージと可動域訓練を中心に行った。週2回訪問。
手引で歩行訓練が出来るようになってからは、杖では不安定だったため歩行器を導入して頂き日常に歩行を取り入れ見守りだけお願いした。
経過
訪問開始して1ヶ月過ぎた頃から変化が見られ、会話の受け答えがしっかりされ笑顔も増えてきた。起き上がりや立ち上がりはご自身で行うようになりデイケアを休むこともなくなった。歩行器を使用し、ダイニングテーブルやトイレまで歩けるようになりご家族の介護負担が軽減された。
訪問時に、ベッドに座って迎え入れて頂けることが私としては何気に嬉しかったりした。寒くなると筋緊張が増すため動きが悪くなることと、片足が引きずるような歩行のためその改善を目指してリハビリ継続中。
考察
体の機能が低下していなくとも、意欲低下で動けなることは高齢者でよくあります。何でも筋力低下を原因にせずADLが低下した理由を見極めることで早期に改善できることが出来ます。
軽度のうつ症状の方は、定期的にマッサージをしながらお話をし、回復を実感していただくことで症状が緩和されるケースは珍しくありません。ベッドの高さについて、低すぎる設定のベッドは座るにしろ立つにしろ状態の低下を招く可能性が高いためこれだけでも専門の方にみてもらうことをお勧めします。