変形性股関節症(人工骨頭)
骨折後の痛みに対する訪問マッサージ症例
病名・症状
変形性股関節症(人工骨頭) 拘縮 狭心症 痛み 腰椎圧迫骨折
患者情報
70代 女性 独居 要介護3
導入経緯
転倒により骨盤骨折。リハビリ後退院したが股関節や腰の痛みが強く日常動作も不安定。独居でもあり痛みの回復が望まれるため、ケアマネジャーより依頼があった。
ADLの状況
室内で伝い歩きは出来るが、外での歩行は痛みがあり不安定で危険。横向きに寝ると股関節が痛いため、仰向きで寝るようにしているが今度は腰が痛くなる。その股関節は外転制限があり拘縮が見られる。それ以外にも膝やこむら返りもある。ベッドは使わずフラットなソファで寝ている。
デイサービスなどの利用は後ろ向きで、ご自宅で過ごされる時間が長い。血圧がかなり高く主治医より食事制限の話もあるが本人は受け入れていない。
治療内容
本人は色々なものに対するこだわりが強く、デイや介護用ベッドの必要性を伝え利用を促したが現状のままでいいとのこと。
痛みを取るマッサージだけでなく運動リハビリの提案もしたが却下。本人は家の中でも出来るだけ動くタイプで最低限の筋力はあったので、痛みが取れた後日常生活でのADLを期待してマッサージと関節可動域訓練中心の治療を行った。また、血圧が高いため治療前と治療後に測って記録し必要に応じてケアマネジャーに報告した。
経過
開始3ヶ月で痛みは1/3程度になり日常動作はほとんど痛みなく行えるようになった。その後もマッサージでの治療希望があったため、ご自身で行える運動方法をお伝えし実践して頂く。
痛みが減ると、こちらが心配になるくらい動かれるがそれにより足の動きも良くなり、外での歩行をシルバーカーを使い短距離であれば行えるようになった。軽い転倒や痛みの再発もあったが2年ほどは安定して生活が維持できた。しかし、心臓の状態が悪くなり入院。入院が長期に渡りADLが大幅低下。独居は不可能ということで、家に帰ることは出来ず治療終了。
考察
痛みでADLが低下している場合は、鍼灸マッサージで効果が出やすくADLが改善する例が多い。骨折の術後は骨が繋がっていても痛みが出ることが多く、その場合はメスを入れた皮膚や筋肉にある神経からの痛みであることが少なくない。このような場所の血流改善や緊張緩和で痛みの改善が期待できる。
高血圧について、鍼やマッサージでの改善する場合もあるが高齢者の場合塩分過多で出ていることが多く食事の管理が優先となる。治療後は一時的に血圧が上がる場合があるので、血圧を測り高すぎる場合は治療内容を減らしたり中止することもある。